仕事の報酬は
『仕事の報酬は仕事。』
ソニーの創業者である井深大氏が口にしていたとされる、有名な言葉ですね。
いい仕事をすると、もっとおもしろい仕事が出来るようになる、それこそが人生最大の喜びだ、と。
僕はこの言葉は真実を言い表していると思ってます。
仕事の報酬はお金でも地位でもなく、仕事です。少なくとも僕らの業界においては。
ただ、この手の話題について話すとポジショントークになりがちで、例えば生命保険や不動産の営業の人にとっては仕事の報酬は断固として給与なのだろうと想像します。
あくまでも日系消費財メーカーに勤める人間の一意見として聞いてください。
なぜこの言葉を取り上げて記事を書こうと思ったかというと、最近人生経験の一環として始めた転職活動で出会うエージェントや他社の人事と話をする機会があって、そこで自分とは異なる価値観に触れたからです。
転職支援サイトに登録されている方ならおわかりになると思うのですが、中途採用の求人の案内のほとんどは待遇についての条件等が前面に押し出されています。
■株式会社バロック・ワークス
~国家転覆を狙う新進気鋭の秘密結社系スタートアップです~
年収:XXX万円~YYY万円
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中途採用の方多数在籍、未経験や他業界からの転職でも大丈夫!
福利厚生バッチリでライフワークバランスもしっかり取れます!
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時勢柄、待遇面に主眼を置いて転職活動をしている人たちが多いのだろうとは思いますが、求人案内に仕事の内容をしっかり書いてある会社が少なくて正直驚きました。
さすがにエージェントや当該企業の人事と話をすれば、仕事の内容を深堀りするかと思ったのですが、「あなたのその経験にはもっと高い給料を払ってくれる会社がいますよ!」とか「当社はライフワークバランスを充実させることに力を入れておりまして~」なんて言われてしまって、結局どんな仕事が出来るのか、あるいはどんな仕事を任せてくれるのか不明瞭なことが多かったです。
そこで「待遇面を仕事の報酬として考えているんだなー僕の考えと違うなー」と思ったわけです。
もちろん、給料や福利厚生を含めた待遇面は仕事を続けるうえで無視は出来ません。
かといって、それらが仕事の報酬の一部にはなり得ても、やはり報酬のメインは仕事だと思うのです。
僕は井深氏の言葉そのままに、仕事の報酬は仕事であり、一つの仕事をこなすとより大きくておもしろい仕事を任せられるようになることは喜ばしいことだと考えています。
仕事をこなすと次にさらに大きな仕事を任せられるようになる。より大きな仕事を経験していく過程で人は成長していきます。
この成長する機会を得られるということに勝る報酬を僕は知りません。
そして仕事を任せられるということは、上司や顧客をはじめとした周囲の人間に自分の力が認められて、信頼を得られたということの証です。
他者から認められ信頼されること、これもまた金銭には代えがたい価値があるものではないでしょうか。
僕と同じように昇進や給料が未だに年功序列ベースから脱却出来ていない企業で一生懸命働く同世代の人たちってたくさんいると思うんですが、
そういう人たちには「なんでこんなに頑張っているのに給料が上がらないんだ!」とふてくされずに、より大きな仕事を与えられるか、仕事を通して成長出来ているかという点に着目して仕事をしてみてほしいです。
きっと仕事に前向きに取り組めるはずです。
同じ環境に身を置く者同士、頑張りましょう!